消防設備士サミット2025
行政書士法人火災予防法務事務所様と共同出展という形で参加させていただきました。
素晴らしいイベントに参加でき、感謝の気持ちで胸もお腹もいっぱいです。
準備にご尽力された皆様、本当にありがとうございました。
消防設備士サミットで行政書士事務所としてブースを出展することについて、始まる前はどのような反応をいただけるかと思っていましたが、蓋を開けてみれば、開始の10時から終了の18時まで、ほとんど列が途切れることのないほど多くの方に訪問していただきました。
消防設備士の方はもちろん、現役の消防官、県や国の関係者、消防設備メーカー、不動産業の方など、業種を問わず多くの方とお話しすることができました。
「消防から行政書士というキャリアってどう?」
「消防系行政書士ってどんなことができるの?」
といったご質問から、
「X見てます!」
「YouTube見てます!」
「応援しています!」
といった激励のお言葉までいただき、大変嬉しい経験もできました。
ちなみにYouTubeはやっておりませんので人違いの可能性が非常に高いわけですが、きっと同じ志を持つ行政書士の方だと思うので、「チャンネル登録よろしくお願いします」とお伝えしました。
本当に色々なお話をさせていただきましたが、一番多かった話題は、やはり最近、業界で話題になっている総務省消防庁の通知「消防法令に基づく各種手続きにおける行政書士法違反の防止について」に関することでした。
「最近、消防署に行政書士法云々の注意喚起の掲示があるけど、あれは何?」
「消防設備士が届出をしたら違反になるの?」
「何か問題があってあの通知は出たの?」
「お前、何かやったべ?」
といったご質問を多くいただき、この通知への関心の高さを感じました。
それはそうですよね。
もし私が消防設備士の立場であったなら(一応、甲種4類は持っているペーパーペーペー設備士ですが)、今まで普通に行っていた届出がある日突然、「それ、実は違反になる可能性があるよ」と言われたら、「なんでやねん!関東人だけどなんでやねん!」と言うかもしれません。
さらに、「ワシが工事したり整備したりしてるのに、なんで書類は行政書士やねん。かといって届出者のオーナーさんに手続きさせたら、設置後4日以内の届出とか難しくなるし、誰も得せぇへんやろ!どないやねん!ワシ、千葉県人やけどどないやねん!」と心の中で叫ぶと思います。
なぜこんなややこしいことが起きているのか。
ここからは個人的な見解ですが、行政書士法の趣旨と、消防手続きにおける長年の慣習との間に絶妙なミスマッチがあるのかなと思います。
行政書士法の趣旨をざっくりと言えば、「国民の権利利益を守るため、本人の『代理』として行政手続きを行えるのは、試験や実務経験などで能力が担保され、守秘義務などを遵守できる者に限定しましょう」というものだと思います。このルールにより、無資格者や悪徳業者が本人の意に反した手続きをしたり、不当な費用を請求したりすることを防いでいるわけです。
一方、消防設備士は、人命を守る消防用設備の工事や整備が行える唯一無二のプロフェッショナルな国家資格者ですが、その資格は「代理で行政手続きを行える能力」までを担保するものではありません。
ん?という感じですが、業務として消防用設備の工事や整備は行えるものの、それに必ず付随する書類作成や代理提出を「報酬を得て」行うことはできない、というややこしいことになっているわけです。
「いや、でも今までそんなこと、消防署も言っていなかったですよね」
この原因は色々と考えられますが、消防側も…
① 行政書士法のことをよく知らない
② 必ずしも消防法のプロではないオーナーさんや行政書士より、消防設備士に届出してほしい
…といった事情があるのかなと思います。
また、消防としても行政書士法は所管外のため、積極的に指導する立場でもなかったのかもしれません。
とはいえ、消防庁も各消防本部も、消防法令違反について
「知らなかったは通用しない!」
「法令違反は厳しく指導する!」
という立場である以上、所管外とはいえ法律に抵触する可能性を放置できず、まずは通知という形で注意喚起に繋がったのかもしれません。
ここまでは現状の話ですが、大事なのは「じゃあ、これからどうするのか」ということなのかなと。
シンプルに考えれば、手続きの部分を「本人申請」の形にするか、または「行政書士」を利用するかのどちらかになりますが、これにはそれぞれ課題がありそうです。
本人申請は先に挙げたように、時間や手間がかかりますし、オーナー様によっては拒絶反応を示されることもあるかもしれません。
では行政書士を使うか、と言っても、私を含め、自信を持って消防手続きができる行政書士は、そんなに多くないのが現状(いや、お前も…)。
これでは消防設備士も消防も、そして申請や届出をする側も困ってしまいます。何とか良い解決方法を模索しなければならない状況ですが、今のところ、その最適解は誰も持っていないように感じます。
勝手な推測ですが、大きな方向性としては、設置届などは消防設備士がきちんと報酬を得て、法的に問題なく届出ができるように法整備の議論が進むのではないかと思っています。
答えがはっきりしない状況にもどかしさを感じなくもありませんが、今回の消防設備士サミットでは「じゃあ、どうしようか」という非常に前向きな話が各方面から聞こえてきて、私も大変勉強になりました。
この課題に対して、元消防官で行政書士で消防設備士という立場の「自分にしかできないこと」。それはあんまり無いかもしれませんが(無いのか)、自分にも出来ることならあるような気がしました。
随分と長くなってしまいましたが、何が言いたいかというと、業界を盛り上げていこうという熱気に包まれた消防設備士サミットが、めちゃめちゃ楽しかったということです!


