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飲食店と消防法

保健所の手続きも終わり、いよいよ飲食店を開業する準備が整いました!

でも、その前に、消防への手続きはお済みですか?
飲食店を開業する際には、ほぼ確実に消防への手続きが必要となります。

今回は、消防分野に特化した行政書士が、飲食店が守るべき消防法のポイントとその重要性について解説します!

消防法は、火災の予防と被害の軽減を目的としています。
建物の構造、防火管理、避難経路の確保など、細かな規定があります。
ほとんどの飲食店はこの消防法の規制を受けます。

保健所の手続きが終わったからといって安心は禁物です。
まず、必要なのが「防火対象物使用開始届出書」の提出です。
これはお店を始める前に消防署に提出しなければなりません。
多くの場合、開業の7日前までに届出が必要です。
しかし、場合によっては他の届出も必要になることがあるので、余裕をもって準備することが重要です。

この「防火対象物使用開始届出書」を提出すると、消防署から必要な対応や設備について案内されます。
しかし、オープン日が決まっている場合、不備があると消防の検査に引っかかることや追加工事が発生することがあります。
事前にどのような準備が必要かを把握しておくことが望ましいです。

飲食店開業時に必要な対応

1.防火管理者の選任と消防計画の作成

建物全体の収容人員(従業員+お客様など)が30人以上の場合、防火管理者を選任する必要があります。防火管理者は、火災予防のための訓練や点検を行い、店舗全体の防火対策を管理します。
注意すべきは、30人以上というのは「お店の人数」ではなく「建物全体の人数」であるという点です。

2.消防用設備の準備

消火器、自動火災報知設備、スプリンクラーなどの設備を適切に設置することが求められます。
特に、別の用途から飲食店へ変更する場合は注意が必要です。
これらの設備は定期的に点検し、常に使用できる状態を保つ必要があります。

これらの準備は「お店の開業前」に行う必要があります。
また、厨房設備の容量によっては追加の届出が必要になることもあります。
飲食店経営者として消防法を遵守することは、店舗の安全を確保し、顧客や従業員の命を守るために極めて重要です。

しろくま行政書士事務所は、皆様の事業を応援すべく、法的な手続きや書類作成を代行します。
詳細や具体的な手続きについては、お気軽にご相談ください!

防炎物品?防炎製品?

カーテンを防炎のものに取り替えてください!
こんな経験、皆様も一度や二度は経験したことがあるのでは…いや、ない…か。
あんまりないですね。
実は、飲食店や物販店、旅館、高さ31mを超える高層建築物などで使用されるカーテンやじゅうたんなどは、一般家庭で使われる「普通」のカーテンでは「ダメ」なのです。
何がダメなのかというと、「消防法に違反している」ということになります。

こういった用途の建物で使用されるカーテンやじゅうたんなどの燃えやすいものは、消防法により「防炎性能」を持たせなければならないとされています。
防炎性能とは、「炎に接してもすぐには燃えず、燃えにくい」という性能です。

例えば、タバコがカーテンに触れてしまった場面を想像してみてください。

普通のカーテンであれば、あっという間にカーテン全体に炎が広がってしまい、そこから建物に燃え移ってしまいます。
しかし、防炎性能があるカーテンであれば、タバコの火が触れた部分だけが黒く焦げますが、炎は広がりません。
こういった防炎性能を持つものは「防炎物品」と呼ばれています。

よって、不特定多数の人が利用する建物では、「防炎物品」を使用しなければならないとされています。

では、似たような言葉で「防炎製品」とは何でしょうか。

これは、カーテンやじゅうたんなど以外で、防炎規制がかからないもの、例えば布団、毛布、車のカバーや、お店で使われているのぼりなど、法的に規制はないものの、防炎性能を有していたほうが良いものについて、一定の基準をクリアした製品のことを言います。ざっくり言えば、「法的に規制はないけども、いざという時のことを考えたら、燃えない方がいいよね!」という物に使用されます。

ですので、防炎物品を使用しなければならない場合に普通の物を使用していた場合、それは撤去するか、防炎物品と交換する必要があります。
買ったばかりのお気に入りのカーテンを変えなければいけないという悲劇を防ぐためにも、こういったルールがあるということを覚えておきましょう!

わからないときはしろくまへご相談を!

消防の立入検査って何?

急に「立入検査させてください」と言われたらドキドキしますよね。
しかし、消防法は人々の生命、身体、財産を守る法律です。
これが守れていないということは、それだけ危険な状態にあるということです。
実際に火災が発生した時に初期消火を行ったり、迅速に避難したりするためには、日常的に消防法を守る意識が大切です。

しかし、消防法の詳細な決まりは、一般的にはあまり知られていません。
そのため、消防では消防法が適切に守られているかどうかを確認するために、立入検査を行います。

お店を始めたころは適切な状態であっても、時間の経過とともに消防用設備が古くなったり、置いてはいけない場所に物を置いたりすることで、知らないうちに消防法に違反してしまうことがあります。
これは珍しいことではありません。

では、立入検査はどのようなタイミングで実施されるのでしょうか?
これは消防本部によって異なります。
3年に1回や5年に1回の場合もあれば、特に周期は定められておらず、違反の可能性が高い建物をその時々で選んで実施することもあります。
基本的には事前に消防から立入検査の連絡があり、日程調整の上で実施されますが、無通告で実施される立入検査もあります。

例えば、市民やお店の利用者から「あのお店は悪質な違反をしている」と通報があった場合や、避難経路に物品を置いている疑いがある場合(事前連絡をしたらその時だけ撤去されるかもしれないため)などです。

このような場合には無通告で立入検査が行われることもあります。

立入検査は、基本的には拒否できません。
「これを機に自分の事業所が安全になる」と前向きに捉えて検査を受けましょう!
それでも不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
「しろくま行政書士事務所」にご相談いただければ、検査に立ち会ったり、指摘事項の改修サポートをすることも可能です。

なかなか発生することのないイベントのために、あれこれ調べたり準備をするのは大変です。

そういう時は専門家に相談しましょう!

消防法令違反って、ほっとくとどうなるの?

当然、良くないわけです。

ですが、実際消防から指摘をされたり、知り合いから「それ、違反だよ」と言われて違反に気付いてもほっといてしまった場合、どうなるのでしょうか。
何を隠そう(別に隠してませんが)私は元消防職員として、様々な建物に検査に行き、消防法令違反の指導をしてまいりましたので、その辺りについては多少知っているつもりです。

なので!今回は消防法令違反、ほっとくとどうなるのか、ということについてお伝えします。

まず、どうなるかというと…

①罰則、行政処分を受ける可能性がある

②火災が発生した際、保険金が支払われない可能性がある

③安全性、社会的信用が低下する。

このような深刻な影響が生じる可能性があります。

この中でも、罰則、行政処分を受ける可能性については、消防の検査で指摘を受けてほっといてしまった場合、再度指摘の通知(指導書や警告書と言ったりもします)が届き、これでも改善されない場合には行政処分にあたる「命令」を受けることになります。

そうなると、建物の入り口の目立つ部分に「標識」が設置され、「違反者の氏名、事業所名、違反内容」などが建物利用者に対し周知されます。
さらに消防局のホームページでも同じ内容で「公表」されるため、事業者にとってはとてつもなく深刻な影響が生じます。

そのような建物は誰も利用したくありませんからね…。
それでも是正がされないようであれば、消防は告発といった対応を取ることになり、違反者は刑事責任が問われることになります。
ここで違反が確定されれば、罰金や懲役などの罰則が適用されることになります。
こんな状況でもし火災が発生した場合、保険金が支払われない可能性があったり、メディア等で取り上げられて、事業者に対する社会的信用が低下したりすることは、当然の結果となるわけですね。

これらのリスクを避けるためには、日頃から消防法令を遵守し、定期的な点検と適切な管理を行うことが不可欠です。
お困りの際はぜひ、しろくまにご相談を!